印刷会社の在庫・発注で押さえること
紙の品番・ロット・色が細かく分かれる
印刷用紙は坪量、サイズ、色、メーカーのロットで品番が分かれ、同じ「上質紙」でも案件ごとに指定が違います。Excel台帳は品番の表記が担当者ごとに揺れやすく、同じ紙を別の行として管理してしまい、実際の残量が見えなくなっていきます。棚にある紙と帳簿上の数字が少しずつずれていくのは、この品番の細かさが主な原因です。
見積・入稿段階の仮押さえが過剰在庫を生む
見積の時点で必要な用紙を紙商に仮押さえしてもらう運用は多く、入稿の遅れや色校正のやり直し、案件そのもののキャンセルで、押さえた分がそのまま残ってしまうことがあります。特急対応で多めに仕入れた紙も、次に使う案件が決まらなければ棚に積まれたままになり、特殊な色や厚みの紙ほど他の案件に流用しにくく、過剰在庫として残りやすい傾向があります。
急な増刷や特殊紙で欠品が起きる
同じロットの紙でなければ色味が変わってしまう案件では、増刷の際に当初と同じ紙が必要になりますが、ロットが切れていると取り寄せに時間がかかり、納期に響きます。発色の良い特殊紙や輸入紙はリードタイムが長く、台帳に「残りわずか」の表示がなければ、発注の判断が遅れて欠品に気づくのが刷版の直前になってしまうこともあります。
顧客支給紙と自社手配紙が混在する
顧客が紙を持ち込む案件と、自社で紙商に発注する案件が同じ倉庫に並ぶため、どの紙が誰のものかを台帳上で区別しておく必要があります。支給紙を他の案件に誤って使ってしまう、あるいは納品後に支給紙の残りをいつまで保管するかが曖昧なままになる、といった食い違いも起きやすい部分です。
在庫・発注のシステムに要る機能
- 用紙を品番・坪量・サイズ・色・ロット単位で管理できる
- 現在庫数と発注中(未着)数を分けて表示できる
- 紙の種類ごとに発注点を設定し、下回ったら知らせる
- 顧客支給紙と自社手配紙を区別して記録できる
- 案件に紙を割り当てた時点で在庫を仮引き落としできる
- 紙商・資材商社ごとの発注履歴と単価を残せる
- ロット単位での先入れ先出しを管理できる
- 棚卸しの結果をすぐに台帳へ反映できる
どこを何で持つか
業界の専用ソフト・既存サービスに任せたほうがよい部分
見積から工程、原価計算までを連動させる印刷業界向けの専用システムは、在庫の消費予測や原価への紙代の反映まで一体で扱えるものが多く、案件数が多い会社ではこうした専用ソフトに乗せたほうが無理がありません。紙商によっては在庫連携や自動発注の仕組みを提供している場合もあり、まずは取引先に確認してみる価値があります。
オープンソースや買い切りのシステムで持てる部分
用紙や資材の品番ごとの在庫数、発注点、仕入先の履歴を一本の台帳として持つ部分は、オープンソースの在庫管理システムでも十分に対応できます。倉庫の棚と台帳を一致させ、発注点を下回ったら知らせる仕組みだけを自社で持ち、見積や工程管理とは別に動かしておくという切り分けが現実的です。
紙・Excelのままでよい部分
顧客から支給された紙の受け渡しメモや、棚卸しの際に手書きで数を数えるところは、紙やExcelのままでも支障はありません。頻度が低く金額も小さい消耗品(マスキングテープや梱包材など)まで細かくシステム化する必要はなく、台帳に乗せるのは発注判断に影響する紙とインクだけに絞るのが無理のないやり方です。
在庫・発注に使えるオープンソース
カタログ2,922件から、在庫・発注に当てはまるものを実測値(規模・日本語対応・デモの有無)で並べています。ライセンスの範囲で無料で使えます。
| 名前 | できること | ライセンス | 日本語 | デモ・購入 |
|---|---|---|---|---|
| InvenTree | 部品、在庫、BOM、発注、製造を管理できるオープンソース在庫管理システムです。 | MIT | 多言語対応。導入バージョンの日本語翻訳範囲を要確認。 | — |
| GreaterWMS | Ford Asia Pacificの物流プロセスを基盤とした在庫・倉庫管理システムです。 | Apache-2.0 | 日本語ファイルが一部のみ | — |
| cmms | 施設の設備保守や資産管理を網羅するセルフホスト型のCMMSアプリケーションです。 | AGPL-3.0 | 日本語ファイルが一部のみ | — |
| stock-logistics-warehouse | Odoo向けの倉庫管理システム用アドオンです。 | AGPL-3.0 | 日本語ファイルあり | — |
| stock-logistics-workflow | Odooをベースとした在庫、ワークフロー、組織管理の統合システムです。 | AGPL-3.0 | 日本語ファイルあり | — |
| flectra | CRMやERP、在庫管理などの機能を備えたオープンソースの業務システムです。 | LGPL-3.0 | 日本語ファイルあり | — |
導入の進め方
- まず用紙・インク・資材のうち、欠品や過剰在庫が繰り返し起きている品目を絞り込み、優先してシステムに乗せる対象を決めます。
- 紙商や資材商社ごとの取引単位(ロット、入数、リードタイム)を洗い出し、台帳の品番と発注点を実際の仕入れ単位に合わせます。
- 製造現場(印刷・製本)が使った分をその日のうちに記録する運用を決め、事務所の発注担当が残量を確認してから紙商に連絡する流れを作ります。
- 年度末や決算期など印刷物が集中する時期に合わせて、主要な紙の発注点を一時的に上げるなど、繁忙期用のルールを決めておきます。
- 運用開始後は月1回棚卸しを行い、台帳とのずれを確認しながら発注点や品番の分け方を調整します。
印刷会社の在庫・発注、何から手を付けるか一緒に決めます
初日のヒアリングと提案は無料です。いまのやり方(紙・Excel・使用中のサービス)を見せていただければ、残すもの・置き換えるものを仕分けしてお返しします。
無料で相談する OSSカスタマイズ(110,000円〜) 動くデモを先に見るよくあるご質問
用紙の色やロットが毎案件違うのに、品番をどう整理すればよいですか?
メーカー・坪量・サイズ・色までを一つの品番とし、ロット番号は入荷ごとの管理番号として別に記録する形が扱いやすいです。色が変わりやすい特殊紙だけロットまで品番に含め、定番紙はロットを気にせず管理するなど、紙の種類によって細かさを変えても構いません。
顧客支給紙は在庫として数える必要がありますか?
自社の資産ではないため仕入れの数には含めませんが、棚の場所や数量が分からないと案件が止まるので、台帳上は自社手配紙と同じように残量を記録しておくと安心です。保管期限が過ぎた支給紙をどう扱うかも、預かり日を残しておくと判断しやすくなります。
発注は紙商に電話やFAXで行っていますが、システム化すると変わりますか?
発注の連絡方法自体を変える必要はありません。台帳上で残量と発注点を把握できるようにしておけば、電話やFAXで発注する際も、いつ何をどれだけ頼むべきかの判断がしやすくなるという効果が主になります。
印刷会社の他の業務
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