製造業・町工場の電子契約で押さえること
注文書と注文請書の往復
見積を提示したあと先方から注文書が届き、こちらが注文請書を返して初めて着手できる取引が多いところです。郵送でのやり取りだと、注文請書に角印を押して投函し、先方に届くまでに数日かかります。急ぎの部品でもこの往復が終わらないと材料の発注や段取りに入れないため、着手が遅れる原因になりやすいところです。
図面を扱う秘密保持契約
新しい取引先から図面を預かって見積や試作をする前に、秘密保持契約(NDA)を結ぶことがあります。図面そのものは機密性が高いため契約書のやり取りも慎重になりがちで、押印した紙を郵送で交換してからでないと図面を受け取れない、という段取りになっている工場も見られます。
取引基本契約と個別注文の関係
継続的に取引する相手とは、代金の支払条件や検査方法を定めた取引基本契約を結び、実際の注文はそのつど注文書でやり取りする形が一般的です。基本契約の更新や取引先の社名変更のたびに契約書を作り直し、双方の押印が揃うまで新しい注文を止めている、という運用も見受けられます。
検収書と支払いの確認
納品した部品や組立品について先方の検査が終わると検収書を送ってもらい、これをもとに請求や支払期日を管理します。検収書が郵送やFAXでしか来ない取引先があると、到着を待つ間に支払いサイトの計算が止まってしまうことがあります。
電子契約のシステムに要る機能
- 注文書・注文請書のひな形を取引先ごとに登録して使い回せる
- 取引基本契約と個別の注文書を紐づけて管理できる
- NDA(秘密保持契約)のひな形を用意し図面を受け取る前に締結状況を確認できる
- 角印・代表者印の電子印影を登録して押印できる
- 取引先ごとに契約書・注文書・検収書をまとめて履行の記録として残せる
- 検収書の受領状況を取引先別に一覧で確認できる
- 取引基本契約の有効期限や更新時期を通知できる
- 外出先や現場からスマートフォンで契約内容を確認・押印できる
どこを何で持つか
業界の専用ソフト・既存サービスに任せたほうがよい部分
すでに取引先からEDIや専用の受発注システムへの参加を求められている場合は、そちらに契約・注文のやり取りを合わせるほうが早いところです。生産管理や工程管理の本体を電子契約の仕組みで代替する必要はなく、そこは今お使いのシステムのままで構いません。
オープンソースや買い切りのシステムで持てる部分
注文請書やNDA、取引基本契約のひな形を登録し、押印と郵送の代わりに電子署名で完結させる部分は自社で持てます。DocuSealやDocumenso、OpenSignのようなオープンソースの電子署名システムを自社サーバーに置けば、取引先ごとの契約書控えや検収書を自社のデータとして蓄積できます。
紙・Excelのままでよい部分
一度きりの小口注文や、長年取引のある相手とのFAX・電話での注文確認は、わざわざ電子契約に切り替えなくても支障がないことが多いところです。検収書を手書きでもらう取引先がある場合も、無理に統一せず従来の方法を残しておいてよいところです。
電子契約に使えるオープンソース
カタログ2,922件から、電子契約に当てはまるものを実測値(規模・日本語対応・デモの有無)で並べています。ライセンスの範囲で無料で使えます。
| 名前 | できること | ライセンス | 日本語 | デモ・購入 |
|---|---|---|---|---|
| DocuSeal | PDFフォームの作成、入力依頼、電子署名をセルフホストできるオープンソース電子署名システムです。 | AGPL-3.0 | 署名フォームは日本語化可能。管理画面は導入時の確認が必要。 | — |
| Documenso | 電子署名による文書へのサインを管理できるオープンソースのアプリケーションです。 | AGPL-3.0 | 日本語ファイルが一部のみ | — |
| OpenSign | DocuSignの代替となるオープンソースの電子署名プラットフォームです。 | AGPL-3.0 | 日本語ファイルなし | — |
| system-designer | システム構築のためのローコード開発プラットフォームです。 | Apache-2.0 | 日本語ファイルなし | — |
| GpgFrontend | GnuPGとRust製のバックエンドを切り替え可能な、モダンなOpenPGPツールです。 | GPL-3.0 | 日本語ファイルなし | — |
| jsignpdf | クロスプラットフォームで動作するPDF電子署名ツールです。 | LGPL-2.1 | 日本語ファイルなし | — |
導入の進め方
- まず取引基本契約やNDAなど、更新頻度が低く取引先の数も絞りやすい契約から電子化する
- 注文書・注文請書のひな形を取引先ごとに登録し、角印の電子印影を用意する
- 主要な取引先数社に電子署名での注文請書を試してもらい、先方の確認担当者が使えるか様子を見る
- 検収書のやり取りも電子化できるか取引先に相談し、対応できる相手から切り替える
- 事務所の契約担当者と現場の工程担当者で、契約が整うまで材料発注や段取りに入らないという取り決めを再確認する
製造業・町工場の電子契約、何から手を付けるか一緒に決めます
初日のヒアリングと提案は無料です。いまのやり方(紙・Excel・使用中のサービス)を見せていただければ、残すもの・置き換えるものを仕分けしてお返しします。
無料で相談する OSSカスタマイズ(110,000円〜) 動くデモを先に見るよくあるご質問
取引先が電子署名に慣れていない場合はどうすればよいですか
最初は一部の取引先だけ電子署名に切り替え、残りは従来どおり郵送で押印する形でも構いません。電子署名システムの多くは相手がメールのリンクから署名するだけで使えるため、特別なソフトを入れてもらう必要はないところです。
図面の秘密保持契約は電子契約でも効力に問題ありませんか
NDAも電子署名で締結すること自体に問題はありませんが、取引先によっては紙への押印を求める社内規程がある場合があります。契約の種類ごとに、電子化してよいか先方に確認してから進めるのが無難です。
生産管理システムと契約の仕組みを一緒にしたほうがよいですか
別にしておくほうが扱いやすいところです。生産管理や工程管理は今お使いのシステムのままで、契約書と注文請書のやり取りだけを電子契約の仕組みに乗せれば、既存の仕組みを崩さずに着手の遅れを減らせます。
製造業・町工場の他の業務
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