名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。support@やinfo@に届くメールをチームのチケットにする、オープンソースのヘルプデスク「FreeScout」の日本語導入キット(共有レンタルサーバー編)を公開しました。
FreeScoutはGitHubスター4,500超のZendesk・Help Scout代替です。日本語UIが公式配布に同梱されていて、ユーザー数無制限・人数課金なし。当社が実際に月数百円クラスの共有レンタルサーバーへ構築し、実在のメールボックスからメールを受信してチケット画面に日本語で表示されるところまで実測しました。
なぜ数あるOSSからFreeScoutを選んだのか——自社サイトの検索データから「日本語情報の空白」を見つけた経緯はnoteに書きました。
この記事では、入手と導入の4つの経路を、構築で罠を10個踏んだ本人が仕分けします。
経路1: GitHub — 無料(エンジニアがいる会社)
FreeScout本体はGitHubから無料で入手できます(AGPL-3.0)。VPSやDockerに慣れたエンジニアがいるなら、公式手順でどうぞ。かかるのはサーバー代だけです。
ただし正直に言うと、共有レンタルサーバーに置く場合は公式手順どおりに進みません。当社の実測では、Webインストーラーが動かない(同梱ライブラリの欠品で500)、画面が真っ白の500(Web実行ユーザーの権限問題)、CSSだけ403でデザイン崩壊(自動生成ファイルの所有者問題)——など、公式ドキュメントに無い落とし穴が10か所ありました。
経路2: 導入キット — 税込5,500円(kappstore)
その10個の落とし穴を先回りして回避する順番で書いた構築手順書に、サーバー要件チェックツール・403修正スクリプト・カスタマイズ指示文集を付けたのが導入キットです。
目玉はAI用指示書(AI-START-HERE.md)です。Claude Code等のAIエージェントに渡すと、要件確認からメール受信の実測確認まで、設置作業そのものを任せられます。メール質問3か月つき。
経路3: Brain版 — 同一内容・同一価格
同じ手順書を、Brainの記事として全文読める形でも出しています。マーケットのポイントやクーポンを使いたい方はこちらでも同じものが手に入ります。
経路4: 構築代行 — 税込110,000円〜
「手順書を読む時間も惜しい」「サーバー選定から任せたい」場合は、当社が構築から運用設計(メールボックス設定・バックアップ・cron)までを代行します。
仕分けの早見表
| あなたの状況 | 経路 | 費用 |
|---|---|---|
| VPSに慣れたエンジニアがいる | GitHub+公式手順 | 無料 |
| 共有レンタルサーバーしかない | 導入キット(kappstore) | 5,500円 |
| Brainで買いたい | Brain版(同一内容) | 5,500円 |
| 丸ごと任せたい | バイブOSSカスタマイズ | 110,000円〜 |
VPSがあるなら、もう1つ選択肢があります(追記 2026-08-31)
LibreDesk というヘルプデスクOSSも日本語化しました。GitHubスター2,861、Go製、AGPL v3です。
FreeScoutとの違いは1点だけです。FreeScoutは共有レンタルサーバーで動きますが、LibreDeskは動きません。
「single binary」を名乗っていますが、実際にはPostgreSQLとRedisが別途必要です(docker-compose.yml で実測)。つまりVPSが要ります。逆にVPSがあるなら、PHPの環境を整えずにバイナリ1つで立ちます。
日本語化して分かったことも書いておきます。翻訳ファイルは1,536項目あり、そのうち25か所が画面で壊れていました。英語では Add なのに日本語が {name} を追加 になっていて、呼び出し側は引数を渡していないため、日本語UIに {name} がそのまま表示される状態でした。直して本家へPRを出しています。
日本語版は katsushi2441/LibreDesk-JP に置いてあります。
| FreeScout | LibreDesk | |
|---|---|---|
| 動く場所 | 共有レンタルサーバー可 | VPS必須 |
| 必要なもの | PHP + MySQL | Go + PostgreSQL + Redis |
| ライセンス | AGPL v3 | AGPL v3 |
| 日本語 | 公式同梱 | 当社が全訳(本家PR提出済み) |
月数百円で始めたいならFreeScout、VPSを既に持っているならLibreDesk、という分かれ方です。
SaaSと迷っている方へ
電話・チャット込みのオムニチャネルや高度なレポートが必要ならZendesk等のSaaSが向きます。メール中心の問い合わせを2〜10人で共有するなら、FreeScoutで十分なことが多く、人数課金がないぶん増員に強い。判断の物差しは「月額×人数×3年分」を計算してみることです。それがFreeScout構築に払える上限額になります。
問い合わせ管理そのものの考え方(Excel台帳の何が問題か)は解説ページにまとめました。
