名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。住所から洪水・土砂災害・津波・避難所を調べられる防災のシステムを、全国の市区町村について作っています。
この記事は、東京都小金井市の白井亨市長にXでフォローしていただいたのをきっかけに、小金井市の避難所のデータを調べたら、国と市のデータに小さなずれが見つかり、それを当社の地図に反映して、市長と国会議員にお伝えするまでの記録です。
1. フォローしていただいた経緯
10月の初め、福岡県田川市の浦野市長にXでフォローしていただきました。田川市は、AIで市民の声を聞く「ブロードリスニング」を始めた市で、当社はその仕組みを調べてブログに書いていました。
それをきっかけに、AI・ハザードマップ・防災を自分で発信している首長が、ほかにもいるのではないかと探しました。そこで見つけたのが、小金井市の白井市長の「月刊市長マガジン(10月号)」の投稿です。9月の豪雨や台風への対応が、具体的に書かれていました。
- 9月8日、野川・仙川にレベル4の氾濫危険警報が出たこと
- 台風25号のとき、土砂災害警戒区域の35世帯を対象に、自主避難所を2か所開いたこと
- 職員が警戒体制をとり、パトロールを続けたこと
この投稿に、小金井市の洪水・内水のハザードマップを住所で調べられる当社のページを添えてコメントしたところ、白井市長にフォローしていただきました。
2. 小金井市の避難所を調べて、気づいたこと
お礼をお伝えする前に、小金井市のデータを改めて調べました。当社の避難所マップは、国土地理院が全国の市区町村から集めて公開している「指定緊急避難場所データ」を使っています。多くの防災アプリや地図サービスも、このデータを使っています。
このデータで小金井市を見ると、指定緊急避難場所は27か所で、災害の種類ごとの指定はこうなっていました。
| 災害の種類 | か所 |
|---|---|
| 地震 | 21 |
| 大規模火事 | 7 |
| 内水氾濫 | 1 |
| 洪水 | 0 |
| 土砂災害 | 0 |
小中学校は地震、公園や大学は大規模火事の指定です。洪水と土砂災害の指定は入っていませんでした。
一方で、小金井市の市報(2024年3月1日号)の「一時避難場所および避難所」には、貫井南町三楽集会所と東町友愛会館の2つが「(土砂災害)」の避難所として載っています。台風25号のときに市が開いた自主避難所も、土砂災害警戒区域の住民を対象にしたものでした。
つまり、市は土砂災害のときの避難先を決めて住民に知らせているのに、その場所が国のデータには入っていない、という状態です。国のデータの「指定緊急避難場所」と、市の「避難所」は法律上の区分が違うので、どちらかが誤っているわけではありません。ただ、国のデータだけを使う防災アプリや地図では、大雨のときにこの2か所が見つかりません。
3. 当社の避難所マップに加えた
そこで、当社の避難所マップに、この2か所を加えました。
- 住所は、市の「市民活動のための便利帳」(2026年5月版)の集会施設の一覧で確かめた(貫井南町3-6-18、東町4-10-2)
- 位置は、国土地理院の住所検索で番地まで出した
- 国のデータには混ぜず、市報を出典にした「市の発表(国土地理院のデータには未掲載)」として、別に持たせた
いまは、小金井市東町4丁目で「土砂災害」を選んで調べると、いちばん上に「東町友愛会館・徒歩6分・市の発表」と出ます。これまでは、隣の市の施設しか出ませんでした。
4. 市長と国会議員にお伝えした
フォローのお礼とあわせて、白井市長にXのメッセージでお伝えしました。伝え方で気をつけたのは、指摘ではなく、住民の側から見た提案にすることです。
- 市がすでに、市報で土砂災害の避難所を示し、台風のときには自主避難所を開いていること
- 当社の地図には、市報を出典に2か所を加えたこと
- 国土地理院のデータにも入ると、多くの防災アプリで住民がスマホから見つけやすくなること
あわせて、東京都選出の国会議員の方にも、ホームページのお問い合わせからお伝えしました。国と自治体のデータが連携していないために、住民に届くはずの情報が届かない、という具体的な例だからです。人の少ない自治体ほど、こうしたずれに手が回りにくく、データとAIで支える意味が大きいと考えています。
5. 調べてみて思ったこと
国のデータは、自治体から届いた値をまとめたものです。自治体がホームページや市報で発表している情報と、国のデータの間には、どこの市でも小さなずれがありえます。そして、住民がスマホで見る防災アプリの多くは、国のデータの側を使っています。
当社は、愛知県の洪水の浸水想定でも、国のデータでは浸水する場所の4割あまりが抜けていたことを、県からデータをいただいて確かめ、反映しています。小金井市の件も同じ型で、国のデータと自治体の発表を突き合わせて、ずれを見つけて直す、ということの小さな一例です。
一つの市の、二つの集会所の話ですが、大雨の夜に「近くの避難先」を調べた住民が見つけられるかどうかは、こうした一つずつのデータにかかっています。
よくある質問
小金井市の土砂災害のときの避難所はどこですか?
小金井市の市報(2024年3月1日号)では、貫井南町三楽集会所(貫井南町3-6-18)と東町友愛会館(東町4-10-2)が、土砂災害のときの避難所とされています。開設の有無は、そのときの市の発表で確かめてください。
小金井市のハザードマップは住所で調べられますか?
当社の洪水・内水ハザードマップと土砂災害ハザードマップで、小金井市の住所から浸水の想定や土砂災害警戒区域の内か外かを調べられます。正式なものは小金井市のハザードマップなので、最終の確認は市の資料でお願いします。
指定緊急避難場所と避難所は何が違いますか?
指定緊急避難場所は、災害が迫ったときに命を守るためにすぐ逃げる場所で、洪水・土砂災害・地震など災害の種類ごとに指定されます。避難所(指定避難所)は、災害のあと一定期間生活する場所です。国土地理院が公開しているのは、指定緊急避難場所のデータです。
