「防災AIチャットボット」で検索すると、2020年ごろからの取り組みがたくさん出てきます。当時の課題を調べ、いまのAIでどこまで解けるかを、当社の 防災AIチャットボット で確かめました。
防災AIチャットボットとは、 住所や現在地と質問から、その場所の警報・避難情報・ハザードマップなどを集めて、いまやることを答えるチャットボットです。
2020〜2021年の防災チャットボット
代表的なのが「SOCDA(ソクダ、対話型災害情報流通基盤)」です。国の研究プログラム(内閣府のSIP第2期)で、防災科学技術研究所・情報通信研究機構(NICT)・ウェザーニューズが、LINEの協力を得て作りました。住民がLINEで被災状況を送ると、NICTの災害向けの言語解析(D-SUMM・DISAANA)で整理して地図に載せ、避難の案内もする仕組みです。2023年3月に研究プログラムが終わり、ウェザーニューズが自治体ごとに導入するサービスとして引き継いでいます。
実証や発表で報告された課題は、次のようなものでした。
- 住民にとって「参考にする情報や指針が多すぎて、避難の判断が難しい」
- 自治体にとって、避難所の混雑の予測、避難者数のリアルタイムの共有、安否確認の手作業が重い
- 導入・運用の費用と、技術だけでなく制度や法律、防災業務の壁
また当時のチャットボットに多かった、決まった筋書きで選択肢を選ばせる型には、「選択肢が多すぎて離脱する」「想定外の質問に答えられない」という課題がよく挙げられています。
いまのAIで、どこまで解けるか
| 当時の課題 | いまの作り方(当社の防災AIチャットボット) |
|---|---|
| 想定外の質問に答えられない | AIがふだんの言葉の質問をそのまま理解する。ボタン以外の自由な言葉で聞ける |
| 情報が多すぎて避難の判断ができない | 住所1つで、警報・キキクル・避難情報を警戒レベルにそろえ、「全員避難」「高齢の方から」「準備」の1つの結論にする |
| AIの答えが信用できるか | 結論はAIに作らせず規則で決める。AIは結論を言い換えるだけ |
| 導入・運用の費用 | 汎用のAIと公開データで作る。AIは自社のサーバーで動くローカルのモデルも選べる。一式220,000円(税込) |
| 多言語 | 答えの言葉を、やさしい日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語・タガログ語・ネパール語から選べる(2026年10月2日に追加) |
結論はAIに作らせない
いまのAIは、ふだんの言葉を驚くほどよく理解します。その一方で、それらしい嘘をつくことがあります。命に関わる「逃げるかどうか」をAIに決めさせるわけにはいきません。
そこで当社は、内閣府の避難情報に関するガイドラインの警戒レベルに合わせて、市区町村の避難情報・気象庁の警報・キキクル・津波警報を同じ物差しにそろえ、その場所が浸水や土砂災害の想定区域に入るかと組み合わせて、結論を規則で出しています。AIはその結論を、質問に合わせて言い換えるだけです。AIが遅いときや止まっているときでも、事実と規則の結論は出ます。
多言語は、言い換えの部分だけで足りた
当時の筋書き型では、言葉を増やすたびに筋書きを作り直す必要がありました。いまの作りでは、結論は規則で決まっているので、AIに「この言葉で言い換えて」と頼むだけで済みます。外国語の質問は、質問の種類(避難・川・台風など)を見分けるためにだけ日本語に直します。地名や避難先の名前は、現地の看板と照らし合わせられるよう日本語の表記を残します。
試しに、名古屋市中川区の住所で英語・中国語・ベトナム語・やさしい日本語で聞くと、どれも「いま避難が必要な情報は出ていない。ただしこの場所には洪水・高潮・津波の浸水の想定がある」という同じ結論を、それぞれの言葉で返しました。中国語で「台風は直撃する?」と聞くと、台風の位置と中心気圧で答えました。
いまのAIでも、まだ解けないこと
- データが無いものは作れない。 避難所の混雑や避難者数は、誰かが入力しない限りどこにもありません。受付で読み取るなど、入力の仕組みが別に要ります
- 公開の制約。 国の「川の防災情報」は、ツールによる定期的なデータの取り込みを控えるよう求めているので、川の水位は取り込んでいません。避難情報を機械で読める形で出している自治体もまだ一部で、当社が取り込めているのは名古屋・東京・千葉・神奈川・静岡です
- 災害時の負荷。 アクセスが集中するとAIの応答が遅れます。事実と規則の結論を先に出し、AIの言い換えは後から、という作りで備えています
- 制度と運用の壁。 自治体の運用や個人情報の扱いは、技術が進んでも残ります
これから足せること
当時NICTの専用の技術でやっていた「住民の投稿の整理」は、いまの汎用のAIで、文章の分類・要約・場所の抜き出しまでできます。写真を読めるAIなら、写真の中身も整理できます。LINEで住民とやりとりして安否を集める仕組みも、手作業をかなり減らせます。どちらも当社の LINE CRM などと組み合わせて作れます。
自治体・会社で使いたい方へ
- デモ: Kurage 防災AIチャット(住所を入れてその場で試せます。答えの言葉も選べます)
- 導入の考え方: 防災AIチャットボット(業務別AIチャットボット)
- 自社に置ける一式: 防災AIチャット+防災判定セット(Kurage App Store)
よくある質問
防災AIチャットボットとは何ですか?
住所や現在地と質問から、その場所の警報・避難情報・ハザードマップなどを集めて、いまやることを答えるチャットボットです。当社のものは、逃げるかどうかの結論を規則で決め、AIはその結論を言い換えるだけにしています。
2020年ごろの防災チャットボットと何が違いますか?
当時は決まった筋書きで選択肢を選ばせる型が多く、想定外の質問に答えにくいという課題がありました。いまはAIがふだんの言葉の質問を理解でき、結論を規則で決めることで、答えの信頼性も保てます。汎用のAIと公開データで作れるので、費用も下がりました。
外国語でも使えますか?
使えます。やさしい日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語・タガログ語・ネパール語で答えます。結論は日本語と同じ規則で決まります。
避難所の混雑も分かりますか?
分かりません。避難所の混雑や避難者数は公開データに無く、入力の仕組みが別に必要です。
