名古屋でAIシステムの開発をしている小嶋です。各府省の新着情報と、国会の議論をつなぐ「Kurage 省庁トラッカー」を作りました。この記事は、その作り方の記録です。
Kurage 省庁トラッカー(省庁の発表 × 国会の議論) https://exbridge.jp/shocho/#ref=vibeblog-shocho
なぜ作ったか
当社はこれまで、国会の質疑と答弁をテーマごとに集める「国会トラッカー」と、大学の研究を集める「論文トラッカー」を作ってきました。足りなかったのが、省庁の動きです。
省庁は、ダッシュボードの公開、ツールの公開、審議会の開催といった発表を毎日のように出しています。国会の会議録より早く、しかも一次情報です。たとえば2026年10月21日、デジタル庁は表の機械可読性を点検するツール「Harunobu」を紹介しました。こうした発表は、国会トラッカーだけを見ていても目に入りません。
そこで、省庁の発表を毎日集め、発表ごとに「同じ話題を国会でだれが質問し、政府が何と答えたか」を並べることにしました。逆に、国会トラッカーの側からも省庁の新しい発表へ戻れるようにしています。
1. 各府省のRSSを確かめる
最初に、主な府省が新着情報をRSSで出しているかを実際に取りに行って確かめました(2026年10月23日)。
| 府省 | 結果 |
|---|---|
| デジタル庁・厚生労働省・農林水産省・文部科学省・内閣府・金融庁 | RSSあり(10〜105件) |
| 国土交通省・総務省 | RSSあり。ただし文字コードが Shift_JIS |
| 経済産業省 | 403(機械からのアクセスを受け付けない) |
| 環境省・こども家庭庁 | RSSが見つからない |
8府省から始めて、初回は278件の発表が集まりました。経産省・環境省・こども家庭庁は、新着ページを直接読む形で、これから1つずつ足します。
持つのは、題名・日付・URL・分類だけです。本文は持たず、各ページに出典と「内容は公式ページで確認を」と書いています。
2. RSS 1.0 と 2.0 を、1つの読み方で読む
府省によって、RSS 1.0(RDF)と RSS 2.0 が混ざっています。要素名だけを見て、item か entry の中の title・link・日付・分類を拾う形にしました。日付は dc:date(RSS 1.0)と pubDate(RSS 2.0)の両方を見ます。link が無い RSS 1.0 の項目は、rdf:about をURLとして使います。
つまずいたのは文字コードです。国交省と総務省のRSSは Shift_JIS で、Python の標準の XML パーサー(expat)は Shift_JIS を読めません。先にXML宣言から文字コードを読み、Python で文字列に直してから(Shift_JIS は cp932 として)、宣言を外してパーサーに渡しました。
3. 発表を、国会の話題に結び付ける
いちばん手間がかかったのがここです。発表の題名は短く、国会トラッカーのテーマの語(「内密出産」「最低賃金」など)はかなり狭いので、そのまま当てると278件中10件しか結び付きませんでした。
そこで2段にしました。
- 題名に国会トラッカーの語があれば、そのテーマに結び付ける。 例:「中央最低賃金審議会」→ 最低賃金。
- 題名が26の分野のどれかに当たれば、その分野の国会トラッカーの中から近いものを選ぶ。 分野の語には、省庁の発表でよく使う言葉(下水・汚泥・オープンデータ・機械可読・肥料など)を足しました。
2段目で「近いもの」をどう選ぶかで2回失敗しました。
- 最初は、分野の中で直近に発言が多いトラッカーを選びました。すると Harunobu(機械可読性のツール)に、デジタルの分野で最近動いていた「ステーブルコイン」が付きました。
- 次に、題名とトラッカーの名前・語に共通する2文字の並びが多い順にしました。すると今度は「デジタル」という語だけで、デジタル教科書などのトラッカーがまとめて付きました。
最後は、分野を見分けるのに使った語(「デジタル」など)そのものは数えず、それ以外に2つ以上共通する並びがあるものだけを付ける形にしました。結び付く発表は41件に減りましたが、中身の合ったものが残りました。
- 中央最低賃金審議会 → 最低賃金
- 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会 → 医療機器
- H3ロケット10号機の打上げ成功(文部科学大臣談話)→ 宇宙政策
- 「2040年に向けた地域医療構想」について → 地域医療連携推進法人(国会で215件)
数を増やすより、外れを出さないほうを選びました。結び付かない発表も、分野ごとのページには載ります。
4. 双方向のリンク
ページは4種類です。トップ、府省ごと、分野ごと、発表ごと。発表ごとのページには、公式ページへのボタンと、同じ話題の国会の直近の質疑・答弁3件、同じ分野のほかの府省の発表を並べました。
逆向きのリンクは、取り込みのときに「国会トラッカーのテーマ → 結び付いた新しい発表5件」の対応表を書き出し、国会トラッカーの各テーマのページに「省庁の新しい発表」の欄として出しています。最低賃金のトラッカーを開くと、中央最低賃金審議会の発表が出ます。
5. 毎日の更新
取り込み → ページ作り → 変わったページだけを送る → 国会トラッカー側の対応表を送る、の4工程を、社内の定期処理に1日2回まで流しています。どこかで落ちたら、前の日のページをそのまま残します。
数日前、当社の補助金ナビの毎日の取り込みが、表に列を足したことに気づかず5週間失敗し続けていました。その反省から、今回は最初に定期処理の中から1回流し、4工程とも成功することを確かめてから公開しました。
6. これから
- 経産省・環境省・こども家庭庁を、新着ページを読む形で足す。
- 国交省はRSSが14件と少ないので、報道発表のページも読む。
- 下水汚泥やオープンデータのように、国会トラッカーにテーマが無い話題は、トラッカーを足すと結び付くようになる。
国会・研究・省庁の動きを1か所でたどれるようにして、議員の方や事業者の方が、いま何が動いているかを早くつかめるようにしていきます。
Kurage 国会トラッカー(国会の質疑と答弁) https://xb4g.com/giin/tracker/#ref=vibeblog-shocho
Kurage 論文トラッカー(大学の研究 × 国会の議論) https://exbridge.jp/academic/#ref=vibeblog-shocho
よくある質問
どの府省の情報が含まれていますか?
デジタル庁、厚生労働省、農林水産省、文部科学省、内閣府、金融庁のRSS情報が含まれます。
国会トラッカーとの連携はどうなっていますか?
双方向のリンクになっており、発表ページから関連する質疑・答弁へ、国会トラッカーから関連する新着発表へ移動できます。
情報の更新頻度はどのくらいですか?
社内の定期処理により、1日2回まで更新が行われます。czyny
