名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。国会会議録から、テーマごとに全国の議員の質疑と政府の答弁を集める「国会トラッカー」を作っています。このページは、そのデータから年収の壁についてまとめたものです。
1. 年収の壁は国会でどれだけ議論されてきたか
物価や賃金が上がって名目の所得が増えても、所得税・住民税の基礎控除などの額が据え置きだと税負担だけが重くなります(ブラケットクリープ)。「年収103万円の壁」をきっかけに、2025年の税制改正で所得税の基礎控除は58万円(所得に応じて最大95万円)に引き上げられ、給与所得控除の最低保障とあわせて課税最低限は160万円になりました。2026年の改正では物価上昇率に連動した基礎控除の引き上げが盛り込まれた一方、住民税の基礎控除は据え置かれています。年金の物価スライドで増えた分に住民税がかかる問題も含め、だれが取り上げ、政府が何と答えてきたかを会議録から機械的に集めて並べます。
国会会議録から、年収の壁にふれた発言を集めると、議員の質疑が807件、政府の答弁が567件ありました(2016年1月15日〜2026年7月27日)。質問した議員は264人です。
| 年 | 質疑の件数 |
|---|---|
| 2016年 | 18 |
| 2017年 | 23 |
| 2018年 | 18 |
| 2019年 | 4 |
| 2020年 | 2 |
| 2021年 | 2 |
| 2022年 | 22 |
| 2023年 | 103 |
| 2024年 | 174 |
| 2025年 | 371 |
| 2026年 | 70 |
いちばん多かったのは2025年の371件です。2026年は70件でした(2026年は2026年7月27日までの分)。
2. どの会派が質問しているか
| 会派 | 質疑の件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 国民民主党 | 264 | 33% |
| 立憲民主党 | 132 | 16% |
| 日本維新の会 | 104 | 13% |
| 公明党 | 94 | 12% |
| 自民党 | 89 | 11% |
| その他・無所属 | 45 | 6% |
| 共産党 | 32 | 4% |
| 中道改革連合 | 18 | 2% |
会派の名前は国会ごとに表記が変わるので、主な党の名前に寄せて数えています。
3. 多く質問した議員
| 議員 | 会派 | 質疑の件数 |
|---|---|---|
| 田村まみ | 国民民主党 | 50 |
| 杉久武 | 公明党 | 19 |
| 長友慎治 | 国民民主党 | 18 |
| 浅野哲 | 国民民主党 | 17 |
| 萩原佳 | 日本維新の会 | 14 |
| 田中健 | 国民民主党 | 14 |
| 玉木雄一郎 | 国民民主党 | 14 |
| 浜口誠 | 国民民主党 | 14 |
会議録で、年収の壁にふれた質疑がいちばん早かったのは、2016年2月22日の予算委員会での遠藤敬議員です。
4. 最近の政府の答弁
2026年7月27日・予算委員会(高市早苗)
…分が多いと考えております。一方、所得税において、御党との合意を踏まえて講じられた基礎控除の引上げによる負担軽減策の考え方との関係がございます。今まさに、今年の年末、お一人の勤労者当たり三万円から六万円減税ということになりますので、システム構築とかいろいろな作業をしているさなかでございます。それから、住民税における地域社会への会費としての性…
2026年7月15日・国家基本政策委員会合同審査会(高市早苗)
…致していると思っております。その上で、御党とお約束をして、合意をした上で所得税の基礎控除の引上げを決めました。ですから、今年の十二月に、これは年末調整で三万円から六万円減税ということになります。ですから、これとの関係をどう考えるか。住民税というのは地域社会の会費的な意味合いも持ちますので、そうすると地方の財政の問題というのが出てきます。こ…
2026年7月6日・決算委員会(城内実)
…通じ、所得に応じて、これまでよりも一層手取りが増えるようにするとともに、いわゆる年収の壁などによる働き控えを緩和することを通じた就労促進を図るとされているものと承知しております。いずれにしましても、引き続き、公党間におきまして中間取りまとめに向けた調整が進められていくものと考えており、その状況をよく見守ってまいりたいと考えております。
答弁は会議録の本文から、テーマの言葉のまわりを抜き出したものです。全文は国会会議録検索システムで読めます。
5. 国会で問われている論点
- 基礎控除・給与所得控除を物価や賃金に連動させて毎年見直すか(恒久的な仕組みにするか)
- 住民税(地方税)の基礎控除・非課税限度額をどう扱うか、地方の税収減をどう補うか
- 年金の物価スライドで増えた分への課税と、高齢者だけでなく現役世代を含めた負担軽減
- 年収の壁(103万・106万・130万円)による就業調整と、社会保険の壁との関係
それぞれの論点について、だれがいつ質問し、政府が何と答えたかは、国会トラッカーで日付順に読めます。
よくある質問
年収の壁について、国会で何件の質問がありましたか?
国会会議録で年収の壁にふれた議員の質疑は807件、政府の答弁は567件です(2016年1月15日〜2026年7月27日)。
年収の壁について、国会でいちばん多く質問した議員はだれですか?
田村まみ議員(国民民主党)の50件がいちばん多く、次が杉久武議員(公明党)の19件です。
年収の壁について、政府は最近何と答えていますか?
いちばん新しい答弁は、2026年7月27日の予算委員会での高市早苗の答弁です。抜粋は上の「最近の政府の答弁」にあります。
