名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。10月6日、デジタル民主主義2030(DD2030)のSlackに参加し、開発中の「広聴AI」に実測を共有して、修正の提案も出しました(その流れは前の記事に書いています)。
入ってみて最初に感じたのは、「静かだな」ということでした。登録者は1,600人を超えているのに、書き込みがほとんどありません。印象で「オワコン」と言うのは簡単ですが、それでは何も分からないので、数字で確かめました。
先に結論
オワコンではありません。ただ、ピークは2025年5月で、いまは十数人で回している状態です。
- Slackの書き込みは、2025年5月の6,982件(138人)がピークで、2026年9月は58件(16人)
- 開発は、広聴AIはいまも続いている(2026年9月に26件の修正)。いどばたとPolimoneyは、ほぼ止まっている
- ピークの2025年5月は、安野氏がチームみらいを結党し、DD2030のボードを退いた月と重なる
調べ方
- Slack:DD2030のSlackの公開チャンネル59個の書き込みを、月ごとに数えました。スレッドの返信も含め、ボットは除いています。DD2030は、同じ公開チャンネルのログをGitHubで公開しています
- GitHub:広聴AI・いどばた・Polimoneyのリポジトリで、取り込まれた(マージされた)修正の数と、それを書いた人の数を月ごとに数えました
- Discord:DD2030の公式Discordの公開ログ(これもGitHubで公開)の量を週ごとに見ました
- 2026年10月6日に数えています。非公開のチャンネルや、通話(ハドル)での活動は数に入っていません
Slackの書き込み(月ごと)
| 月 | 書き込み | 書いた人 |
|---|---|---|
| 2025年3月 | 1,590 | 108 |
| 2025年4月 | 4,288 | 142 |
| 2025年5月 | 6,982 | 138 |
| 2025年6月 | 1,231 | 84 |
| 2025年7月 | 1,402 | 69 |
| 2025年8月 | 820 | 52 |
| 2025年9月 | 667 | 29 |
| 2025年10月 | 847 | 45 |
| 2025年11月 | 877 | 33 |
| 2025年12月 | 1,606 | 42 |
| 2026年1月 | 1,560 | 73 |
| 2026年2月 | 1,636 | 49 |
| 2026年3月 | 1,652 | 43 |
| 2026年4月 | 648 | 37 |
| 2026年5月 | 805 | 28 |
| 2026年6月 | 896 | 49 |
| 2026年7月 | 825 | 21 |
| 2026年8月 | 531 | 35 |
| 2026年9月 | 58 | 16 |
| 2026年10月(6日まで) | 34 | 5 |
2025年5月のピークのあと、いったん月700〜1,400件に落ち、2025年12月〜2026年3月にもう一度、月1,600件前後の山があります。2026年4月からは月500〜900件で、2026年9月に58件まで急に減りました。
議論の場がDiscordに移ったのかとも考えましたが、Discordの公開ログは週に数KBで、ほとんど書き込みがありません。9月に急に減った理由は、数字からは分かりませんでした。
開発(GitHubで取り込まれた修正の数)
広聴AI:いまも続いている
| 月 | 取り込まれた修正 | 書いた人 |
|---|---|---|
| 2025年3月 | 98 | 11 |
| 2025年4月 | 76 | 11 |
| 2025年5月 | 65 | 10 |
| 2025年9月 | 11 | 7 |
| 2026年2月 | 29 | 5 |
| 2026年5月 | 39 | 4 |
| 2026年9月 | 26 | 4 |
これまでの合計は462件です。公開直後の2025年3〜5月は月10人以上が書いていましたが、いまは月1〜5人です。人は減っても、修正の数は月によって公開直後に近い水準まで戻っていて、少数のコアメンバーが続けていることが分かります。2025年12月には安定版 v4.0.0 も出ています。
いどばた・Polimoney:ほぼ止まっている
- いどばた:2025年5月に125件(10人)がピークで、2025年秋以降はほぼ止まっています
- Polimoney(政治資金の見える化):2025年5月に38件がピークで、2026年5月の8件を最後に止まっています
何が起きたのか
数字と、公開されている出来事を並べると、次のように読めます。
- 2025年1月:安野貴博氏がDD2030を立ち上げる
- 2025年3月:広聴AIをオープンソースで公開。Slackに人が集まり始める
- 2025年5月:Slack・開発ともにピーク。同じ月に、安野氏がチームみらいを結党し、政治的中立のためDD2030のボードを退く
- 2025年10月以降:チームみらいの「永田町エンジニアチーム」が、「みらいまる見え政治資金」「みらい議会」など自前のプロダクトを出す
- 2026年2月:チームみらいが衆院選の比例で381万票・11議席
- 2026年6〜8月:DD2030は詐欺広告対策の「コアループ」で市民熟議を開き、8月にはデジタル民主主義サミットを開催
- 2026年9月:Slackの書き込みが58件に
注目と人の流れが、政党としてのチームみらいの側へ移った——と考えると、ピークの時期と合います。一方で、DD2030が政党から切り離された場所として続いているのも事実です。
当社の結論
「オワコン」というより、立ち上げの熱が引いたあとの、少人数の開発コミュニティになった、というのが数字から言えることです。
参加する側から見ると、悪いことばかりではありません。動いている人が少ないので、貢献すると目に留まりやすいです。当社が広聴AIの課題(#471)に実測を書いたところ、Issueを整理している中心のメンバーから半日で返事がありました。修正の提案(PR #952)も、人のレビューを待っています。
ただ、「コミュニティを通じて大勢に届く」ことは期待しにくい規模です。当社は、広聴AIの開発に貢献しながら、その成果を自社の議会・行政向けのシステム(国会の法案ページ、質問主意書アシスト、広聴AIの完全ローカル導入キット)に生かしていく、という関わり方をするつもりです。
よくある質問
デジタル民主主義2030とチームみらいは同じ団体ですか?
違います。デジタル民主主義2030は、安野貴博氏が2025年1月に立ち上げた民間のコミュニティで、チームみらいは同氏が2025年5月に結党した政党です。安野氏は結党の際、政治的中立のためにデジタル民主主義2030のボードを退いています。広聴AIはデジタル民主主義2030が開発し、チームみらいは使う側です。
デジタル民主主義2030はもう活動していないのですか?
活動しています。広聴AIの開発は2026年9月にも26件の修正が取り込まれていて、詐欺広告対策の市民熟議やサミットも開かれています。ただ、Slackの書き込みは2025年5月の約7,000件から、2026年9月には58件まで減っています。
この数字はどうやって数えましたか?
Slackは公開チャンネル59個の書き込み(スレッドの返信を含み、ボットを除く)を、GitHubは各リポジトリで取り込まれた修正を、月ごとに数えました。いずれも2026年10月6日時点で、非公開のチャンネルや通話での活動は入っていません。
自分の会社や自治体でも、広聴AIのような仕組みを使えますか?
広聴AIはオープンソースなので、誰でも使えます。当社では、外部のAIを使わずに自社のサーバーだけで動かす導入キットや、業務に合わせたバイブカスタマイズ、名古屋市内で月15時間のAI-IT顧問契約をお受けしています。
