株式会社エクスブリッジ
ローカルLLMの日本語判断を41問で実測した——Qwen3.5-4Bより3Bの日本語特化モデルが強かった分野がある

ローカルLLMの日本語判断を41問で実測した——Qwen3.5-4Bより3Bの日本語特化モデルが強かった分野がある

2026年09月27日約7分で読めますローカルLLM 日本語

ローカルLLMで日本語の判断を返すとき、どのモデルが良いかを41問で実測しました。Qwen3.5-4B・gemma-4-E4B・sarashina2.2-3bを同じ方式で比べ、総合では現行が勝つ一方、常識推論だけ3Bの日本語特化モデルが9/12と逆転した結果を紹介します。

自社のサービスで使っているモデルを、一度も他と比べていないことに気づきました。日本語の判断を返す部分です。指摘されて調べたら、比較の記録がどこにもありませんでした。

そこで41問の設問を作って、3つのモデルを同じ土俵で測りました。総合では現行が勝ちましたが、分野別に見ると順位が入れ替わる場所が1つありました。

何を測ったのか

当社は「判断」を外部のAPIに出さず、手元のGPUで返す仕組みを使っています。文章は1トークンも生成せず、選択肢のロジットを1回の順伝播で読むだけの方式です。手法は OpenJev(MIT)が示したもので、当社が考えたものではありません。

この方式はモデルを問いません。だから「どのモデルを載せるか」は本来、測って決めるべきでした。実際には上流が使っていた Qwen3.5-4B をそのまま引き継いでいただけです。

測ったのは3つです。

すべて4bit量子化、RTX 3090、判定のやり方は完全に同一にしました。

設問の作り方

ベンチマークの数字は、当社の実務を代表しません。だから公開ベンチマークは使わず、実際に製品で走っている判定と同じ型で41問作りました。6分野です。

各問に正解の根拠を書き添えてあります。あとから正解そのものを検証できるようにするためです。

結果

総合はこうなりました。

ここで止めれば「現行のままでよい」という結論です。分野別を見るまでは。

常識推論だけ、順位が入れ替わる

分野 Qwen3.5-4B gemma-4-E4B sarashina2.2-3b
常識推論 6/12 6/12 9/12
意図分類 6/6 6/6 4/6
緊急度 5/5 4/5 4/5
表情8択 7/8 8/8 7/8
否定・含意 4/6 3/6 3/6
数量・期限 4/4 3/4 3/4

常識推論だけ、3Bの日本語特化モデルが 9/12 で、4Bの2つ(どちらも 6/12)を上回りました。しかも46msで、現行より1.7倍速い。

中身を見ると差がはっきりします。

日本の制度に関する常識が、素で入っているかどうかの差です。パラメータ数では埋まりませんでした。

これは当社にとって実害のあった場所です。手続きナビの判定でこの型を外すので、辞書と組み合わせて補う回避策を書いていました。モデルを選び直せば、その回避策は薄くできます。

3モデルとも外した問題

面白いのはここです。

「分からない」と答えるのが、どのモデルも苦手でした。情報が無いときに保留せず、断定します。これはモデルを変えても解けないので、辞書や決定論のルールで拾い続ける必要があります。

分かったこと

  1. 総合点で選ぶと間違える。 78% と 73% の差より、常識推論 6/12 と 9/12 の差のほうが、実務では大きい。
  2. 用途で使い分けるのが実測に合う。 制度・常識の判定は sarashina、問い合わせの振り分けや数量の判断は Qwen。
  3. パラメータ数は日本語の常識を保証しない。 3B が 4B を上回った。
  4. 「分からない」は全モデルの穴。 ここは機械学習で埋めず、ルールで埋める。

限界も書いておきます

41問では足りません。分野あたり4〜12問なので、6/12 と 9/12 の差が偶然でないとは言い切れません。分野ごとに30問以上ないと、この差は統計的に主張できないというのが正直なところです。商品として売るなら200問規模と6〜8モデルが要ります。

それでも、比較の記録がゼロだった状態からは前に進みました。少なくとも「現行を疑う理由」と「どこを疑うべきか」が数字になりました。

仕組みは残してあります

モデルIDを1つ渡せば、同じ41問を同じ方式で回せるようにしてあります。新しいモデルが出たときに、また手探りに戻らないためです。設問・スクリプト・3モデル分の全回答(確信度と所要時間つき)を、そのまま置いてあります。

測っていないものは、選んだとは言えません。今回いちばん効いたのは、モデルを替えたことではなく、替える理由を数字で持てるようにしたことでした。

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