株式会社エクスブリッジ
印旛沼の決壊で浸かった560haを洪水ハザードマップと重ねた——台風25号の国土地理院 浸水推定図と洪水浸水想定区域を面積で照合

印旛沼の決壊で浸かった560haを洪水ハザードマップと重ねた——台風25号の国土地理院 浸水推定図と洪水浸水想定区域を面積で照合

2026年09月27日約10分で読めます洪水 ハザードマップ

台風25号で北印旛沼の堤防が決壊し、国土地理院が浸水推定図を公開しました。その浸水範囲(9/22で559.7ha)を洪水浸水想定区域(国土数値情報A31)と面積で重ねたところ、想定最大規模に100%、計画規模にも99.9%入っていました。調べ方と、分からなかったところまで記録します。

台風25号の大雨で、千葉県の北印旛沼の堤防が切れました。「川が氾濫したところは、ハザードマップに指定されていたのか」と聞かれて、手元のデータで確かめられるか試しました。

答えから書くと、国土地理院が浸水範囲を描いた北印旛沼の周りは、洪水ハザードマップの元になる「洪水浸水想定区域」にほぼ全部入っていました。 想定どおりの場所が、想定どおりに浸かったケースです。

何が起きたか

国土交通省の速報によると、9月19日から21日の総雨量は千葉県で450ミリを超えました。

国土地理院は、国交省のヘリの空撮と標高データから、北印旛沼周辺の浸水推定図を9月22日・24日・25日の3回分公開しています。輪郭はGeoJSONでダウンロードできます。

やったこと

当社の Kurage 洪水・内水ハザードマップ(kflood) は、国土数値情報の洪水浸水想定区域(A31 第4.0版・全国)をデータベースに入れて、住所がどの区域に入るかを判定しています。全国で約2,100万の多角形です。

ここに国土地理院の浸水範囲の輪郭を持ち込んで、浸かった範囲のうち何ヘクタールが想定区域に入っていたかを、区域の種類ごとに面積で出しました。点をいくつか調べるのではなく、面どうしを重ねています。

見た区域は4種類です。

結果

日付 浸水範囲 想定最大規模に入っていた 計画規模に入っていた
9月22日 559.7ha 100% 99.9%
9月24日 494.0ha 100% 99.9%
9月25日 315.1ha 100% 100%

9月22日の範囲で、どちらの想定区域にも入っていなかったのは 0.1ha だけでした。浸水継続時間の区域にもほぼ全部入っています。家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていたのは7.9ha(1.4%)で、沼の周りの干拓地は「流れで家が壊れる」場所ではなく「水がたまって引かない」場所として想定されていたことになります。

想定されていた深さは、大半が0.5〜3mか3〜5mで、一部は5〜10mでした。ただし、ここは複数の川の想定が同じ場所に重なっているため、深さの内訳を足すと全体の面積を超えます。「その場所は、いずれかの川の想定でこの深さまで浸かるとされていた」という読み方になります。

報道に出た地名も、町丁の代表点で確かめました。

干拓地は「お盆」の形をしていて、水が自然には抜けません。国交省も大型の排水ポンプ車を出して24時間排水していました。ハザードマップの「浸水継続時間 3日〜1週間」は、まさにこの状態を想定した数字です。

分からなかったところ

高崎川・鹿島川沿いの佐倉市街や、養老川など残りの河川は、面積で確かめられていません。 国土地理院の浸水推定図が北印旛沼の分しか公開されていないためです。国交省の資料には佐倉市街の浸水の写真が載っていますが、範囲のデータはありません。

地名の確認は、町丁の代表点(町のおおよその中心)で見ています。実際に浸水した家の地点ではないので、「その町のどこかは区域内」という程度に受け取ってください。佐倉市六崎は代表点が区域外でした。

川の氾濫ではない浸水は、この区域の対象外です。 台風25号では、川から離れた「高台のくぼ地」で道路が冠水したことも報じられています。これは下水や側溝があふれる内水で、洪水浸水想定区域には出てきません。8月の千葉豪雨では、ウェザーニューズが「被災報告の2人に1人は浸水想定区域の外」と分析していました。内水を含めると、ハザードマップの外で浸かる例は珍しくありません。

やってみて思ったこと

ハザードマップが外れたときは話題になりますが、当たったときは話題になりません。今回の北印旛沼は、浸かった範囲が想定の中にほぼぴったり収まっていました。「ハザードマップは当てにならない」という話と、「想定どおりに浸かった」という事実は、両方見ておく必要があります。

作業としては、国土地理院の浸水推定図がGeoJSONで出ていたので、手元のデータベースに入れて重ねるだけで済みました。つまずいたのは技術的な細部で、国土地理院のサーバーが古い方式のTLS再交渉を要求していて、既定の設定のままだと接続できませんでした。

自分の住所が洪水浸水想定区域に入っているか、何メートル浸かる想定か、水が引くまで何日かは、こちらで調べられます。

Kurage 洪水・内水ハザードマップ(住所を入れて判定)

同じ住所の土砂災害警戒区域は 土砂災害ハザードマップ で見られます。

自分のところで動かしたい方へ

今回の照合に使った洪水浸水想定区域の判定は、そのまま自治体・不動産会社・事務所のサイトに置けるシステムとして出しています。全国の想定区域データを同梱していて、判定は置いた場所で完結します(外部の有料APIは使いません)。

出典

浸水範囲と想定区域の面積は、上記の国土地理院・国土数値情報のデータを当社が加工して集計したものです。

前後の記事

読んで、自分でやるか任せるか

記事のとおりに進めて詰まったら、そこから先は任せてください。名古屋の会社です。概算見積は無料です。

開発会社・IT販売の方へ

この記事に出てくるシステムは、御社の案件で売ったり、御社の製品に組み込んだりできます。ソースコードは MIT ライセンスで、御社のブランドでの販売もできます。販売手数料は、バイブプロトタイプ制作・バイブOSSで1件9万円(税別)、App Store の製品は本体価格の10%です。登録無料・ノルマなし。

Kurage.AIKurage.AI に相談AIが何でも答えます