ボイスレコーダーやスマホの会議録音を、無料で・音声を外部に出さずに文字にできます。OpenAIのWhisperを自社サーバーで動かす方法と、日本語の精度・速度の実測値、議事録までの自動化を、実際に構築した立場から書きます。
当社が8コアCPUのLinuxサーバー(GPUなし・large-v3-turboモデル)で日本語の会議録音を処理した実測値です。
| 録音の長さ | 24秒(会議の冒頭部分) |
|---|---|
| 処理時間 | 約11秒(録音時間の半分弱。1時間の会議なら30分弱が目安) |
| 認識精度 | 決定事項・金額(30万円)・日付(10月15日)・人名(佐藤さん)まで正しく認識。「次回」を「2回」と書く同音異義語の誤りが1か所 |
精度はモデルサイズで変わります。small(軽量)は速いが日本語の誤りが増え、large-v3-turboが速度と精度のバランス点です。
# 1. whisper.cppをビルド(約2分) git clone https://github.com/ggml-org/whisper.cpp && cd whisper.cpp cmake -B build && cmake --build build -j --target whisper-cli # 2. 日本語に強いモデルをダウンロード(1.6GB) curl -LO https://huggingface.co/ggerganov/whisper.cpp/resolve/main/ggml-large-v3-turbo.bin # 3. 文字起こし(ボイスレコーダーのm4aはffmpegでwavに変換してから) ffmpeg -i 録音.m4a -ar 16000 -ac 1 会議.wav ./build/bin/whisper-cli -m ggml-large-v3-turbo.bin -l ja 会議.wav
これだけで、タイムスタンプ付きの文字起こしがテキストで出てきます。ICレコーダーのwav・mp3、スマホのm4a、どれでも同じ流れです。
実務で欲しいのは文字の羅列ではなく議事録——概要・決定事項・ToDo(担当と期限)・次回——のはずです。当社はこの一連を製品化しました。
| Whisper自社サーバー | クラウド文字起こしSaaS | |
| 料金 | 無料(サーバー代のみ) | 月額×人数(払い続ける) |
| 音声の行き先 | サーバーの外に出ない | 事業者のクラウドに送信される |
| Web会議の自動参加 | 不可(録音ファイルの事後処理) | 対応製品が多い |
| 話者分離 | 基本なし(人が付ける) | 対応製品が多い |
| 向く場面 | 対面会議・ICレコーダー録音・機密案件 | Web会議中心・リアルタイム必須 |
Web会議のリアルタイム文字起こしが主目的ならクラウドSaaSが向きます。対面会議の録音が中心で、音声を外に出したくないなら、自社サーバーのWhisperが向きます。
モデルもソフトも無料(MITライセンス)です。かかるのはサーバー代と電気代だけ。商用利用も自由です。
目安は4コア以上のCPUとメモリ4GB。月1,000円前後のVPSで足ります。GPUは不要です(あれば更に速くなります)。
whisper.cppが直接読むのはwav/mp3/flac/oggです。m4aはffmpegで変換してから渡します(上のコマンド参照)。当社の議事録システムはこの変換を自動でやります。
whisper.cppにはマイク入力のリアルタイム処理もありますが、実用の中心は録音ファイルの事後処理です。Web会議のリアルタイム字幕が主目的ならクラウドSaaSをどうぞ。
頼めます。議事録システム(買い切り55,000円)にはAIが読める設置手順書が付き、バイブOSSカスタマイズ(税込110,000円〜)ではサーバー構築から運用設計まで当社が行います。
最終更新: 2026年8月26日。筆者: 株式会社エクスブリッジ(名古屋のAIシステム開発会社)。whisper.cppベースの議事録システムを自社で構築・販売している立場から、実測値に基づいて書いています。