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熊谷正寿氏(GMO)が賞賛される理由はあるのか|発明は無く、雇用と納税は他社でも生まれていた

熊谷正寿氏(GMO)が賞賛される理由はあるのか|発明は無く、雇用と納税は他社でも生まれていた

2026年11月03日約9分で読めます熊谷正寿

GMOインターネットグループの熊谷正寿代表を「税金を納め、雇用を生み、補填もしている天才的な起業家だから叩くな」と擁護する声があります。しかしGMOの事業は、ドメイン・サーバー・決済・FX・ネット銀行と、どれも先に始めた会社があった分野です。人手不足の日本では、社員はGMOがなくてもどこかで働き、税金も納めていました。M&Aで大きくする手腕を評価するのは株式市場の仕組みで、LinuxやWWWのような社会への発明とは別物です。お名前.com デスクトップクラウドの不正アクセスへの補償は恩恵ではなく責任です。4つの理由をまとめました。

熊谷正寿氏が賞賛される理由は?

GMOの事業は他社も提供していたものであり、新発明ではありません。雇用や納税も他社で生まれていた可能性が高く、社会への新しさよりも市場での取り分を拡大した経営手腕が評価されている側面があります。

名古屋でAIシステムの開発をしている小嶋です。

2026年11月2日、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表が、子会社の「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスについて会見を開きました。X では、熊谷氏を批判する人に向けて、「彼がどれだけの税金を納め、どれだけの雇用を生み、どれだけの責任をとって補填しているのか分かっているのか」「彼のような天才的な起業家がいるから、みんなが生きていける」という擁護の投稿が広く読まれています。

この賞賛には、違和感があります。この記事では、その理由を4つに分けて書きます。熊谷氏の人柄の話ではなく、「何をもって賞賛するのか」という理屈の話です。

1. GMOの事業は、どれも先に始めた会社があった分野です

GMOインターネットグループの主な事業を並べてみます。

どれも、GMOが始めたときには、すでに同じことをしている会社がありました。GMOが強くなったのは、値段を下げ、会社を買い、規模を大きくしたからです。熊谷氏がいなくても、これらのサービスは他社が提供していました。

世の中の土台を新しく作った発明と並べると、違いがはっきりします。

GMOの事業に、これらに並ぶ新しさはありません。

2. 雇用と納税は、GMOがなくても生まれていました

「何千人もの雇用を生み、多額の税金を納めている」というのは、擁護でいちばんよく使われる理由です。ですが、雇用と納税の総額は、GMOがあったから増えた分ではありません。

GMOのおかげで生まれたと言えるのは、「GMOでなければ生まれなかった分」だけです。それを探しても、見当たりません。

同じ批判は、工場の誘致や補助金の議論でもよく出ます。「◯千人の雇用を生む」と言っても、人手不足のときは、ほかの会社から人が移るだけで、地域全体の雇用はほとんど増えない、というものです。雇用と納税の額が大きいことは、それだけでは社会に何かを足したことの証明になりません。

3. M&Aで広げる手腕を評価するのは、株式市場の仕組みです

GMOグループの売上は約2,856億円(2025年12月期)です。会社を買い、市場の取り分を増やし、売上を伸ばしてきた手腕は、株主にとっては価値があります。

ただ、それを評価しているのは、資本主義と株式市場の仕組みです。株価や時価総額が測っているのは「どれだけ稼ぎ、どれだけ取り込んだか」で、「社会に何が新しくできるようになったか」ではありません。他社でもできたことを、他社より大きくやった会社は、市場では高く評価されます。ですが、社会に足したものは、取り分が移った分のほかには、ほとんどありません。

反対に、社会への価値がいちばん大きかったものほど、市場では報われていません。Linux と WWW を作った人は、それを無料で世界に配りました。いまのインターネットとサーバーは、その上に乗っています。それでも作った本人たちは、大きな会社の創業者のような富を得ていません。

「経営者として株主に価値を出した」なら、正確な評価です。「天才的な起業家」「彼がいるからみんなが生きていける」は、社会への新しさで言えば、言い過ぎです。

4. 補償は「してくれる」ものではなく、責任です

今回の件で、GMOインターネットの発表から分かっていることは次のとおりです。

熊谷氏本人も、10月25日のブログで、社内のホワイトハッカーからセキュリティの課題を指摘されていたのに、対応の深さと速さが足りず、攻撃者にそのすきを突かれたと認めています(J-CASTニュースの報道による)。

利用者のサーバーと口座の情報を預かる会社が、それを守れなかったのです。見舞金と補償は、熊谷氏が「責任をとって補填してくれている」恩恵ではありません。預かったものを守れなかった会社が果たす責任です。

「悪意があったわけではない」というのも、そのとおりだと思います。ですが、指摘された課題を後回しにした判断は、悪意がなくても問われます。事故のあとに会社の経営を批判するのは、正当なことです。もちろん、熊谷氏個人へのひどい言葉は、批判とは別のものです。

賞賛と批判を分けて考える

まとめると、次のようになります。

経営者としての手腕を評価する人がいるのは自然です。ただ、「税金と雇用を見ろ、だから叩くな」という理屈は成り立ちません。

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今回の件でいちばん重いのは、課題が社内で指摘されていたのに、手当てが間に合わなかったことです。大きな会社でもこうなるので、専門の担当者がいない中小企業では、なおさら起きやすいことです。

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よくある質問

GMOの事業には新しさがあるのですか?

いいえ、ドメイン登録やネット銀行などは既に他社が存在する分野です。値段を下げ、会社を買い、規模を大きくすることで強くなりました。

雇用と納税はGMOのおかげで生まれたものですか?

必ずしもそうではありません。人手不足の状況では、他の会社から人が移るだけであり、GMOがなければ他社の売上や税金になっていた可能性があります。

今回の補償は熊谷氏の恩恵なのですか?

いいえ、預かった情報を守れなかった会社が果たす責任です。指摘された課題への対応が遅れたことに対する責任であり、批判を封じる理由にはなりません。

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